ようやく日本でも理解されはじめた「ルームシェア」ですが、そのほとんどは20代から30代の若者同士が一緒に住むというものです。

しかし、海外、特に英米あたりのルームシェア事情を観察すると、若い時だけではない人生のさまざまな場面でルームシェアが活用されていることがわかってきます。

Black and White
Creative Commons License photo credit: Brian Auer

ルームシェアの基本は、「使っていない余った部屋を活用する」ことで、出費を抑えたり副収入を得たりすることにあります。ですから、実際にはシェアメイトが若いかどうかとは関係ないのです。

若者向けのこじんまりとしたワンルームマンションが多数存在する日本の都会と違って、英米では家族が住むような何部屋もある住居を何十年、時には百年以上も使うというのが普通です(ニューヨークやパリの中心部では、さすがに一人暮らしの物件も充実していますが)。

何部屋もある家に長く暮らしていくうちに、部屋が余ることもあるでしょう。そのような場合のすべてで、ルームシェアは活用されています。これは、今の日本のルームシェアにはほとんど見られないものです。

たとえば、結婚したばかりで子供がいない若夫婦。彼らが2部屋、3部屋の家を借りたり買ったりしたとして、まだ使う予定がない子供部屋は、独身の若者に貸してルームシェアをするのは普通です。日本の住宅事情とは違って、家全体が広かったり、壁も厚かったりというのはあるかもしれませんが、カップルと独身者のシェアも、独身者だけのシェアと同じように存在しています。

また、小さな子供がいる家族でも、空き部屋があればそこに独身者を入れてルームシェアすることは良くあります。英語圏は特に需要が多いのですが、イギリスなら東欧や南欧から、アメリカなら中南米から、英語を学びに来ている若い外国人に空き部屋を貸し、その代わりに子供の面倒を見てもらう、といったルームシェアも人気です。このような子守りを兼ねたホームステイのような形態のことを、au pair=オペア、オーペア、などとも言います。

そして、子供が大きくなって進学や就職・独立で家を離れたときも、またルームシェアが登場します。大学のある町などでは特に、老夫婦と若者のシェア、独居老人と学生のシェア、などが多数見られます。

老人から見ると、家に若者が住んでいるというのは、孤独を紛らわすという点でも、防犯の点などからも利点があり、単に部屋を貸して家賃を取るという以上のメリットがあるでしょう。借りる学生たちから見ても、ルームシェアすることでより安く住めるなら、そのような選択肢が有ることに損はありません。

このようないろいろな形態のルームシェアが海外では機能しています。

日本でも、老夫婦が子供部屋を余らせているようなケースは多いでしょう。ホームステイ等で外国人学生を受け入れている方もいらっしゃると思いますが、日本人の若者とでも、長期でシェアメイトとして同居することを検討してくれる方が増えたりすると、若者側にも借りられる物件が増えていいのではないかな、と僕などは思っています。みなさんはどう思われますか?