ルームシェア入門 目次

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1997年頃から書き始めて、2002年には「ルームシェアする生活」という本にもなった日本語による初のルームシェアガイドです。今でも古くなったところや質問を受けたところを手直ししていますので、ルームシェアを始めたり共同生活で悩んでいたりしたときに参考にしてください。コメントや質問は大歓迎です。

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未成年とのルームシェア

危険な子供
危険な子供 posted by (C)葱

「未成年の場合、親の承諾なしにルームシェアできるのでしょうか?」

できるできない、で言えば、その未成年に部屋を貸す側の相手がそれで良ければ、できるでしょう。しかし、貸す側にとっては未成年に貸すというのはたいへんリスクが高い行為です。

未成年者の契約は後から無かったことにできてしまう

一つ目のリスクはこれです。未成年者は、家を借りるといった大きな契約を、正しく判断する能力が無い、ということになっています。

つまり、未成年者相手に部屋を貸すことにして、たとえちゃんとした契約書を書いて契約をしたとしても、未成年者側からその契約はいつでも「なかったこと」にできてしまうわけです。

親など保護者が出てきて取り消させる場合もありますし、未成年者本人がこれを利用して家賃を踏み倒したりすることも無いとはいえません。自分は守らなければいけないが、相手はいつでも止められる契約、というものを結んでまで未成年者に貸すのを良しとする人がいるものでしょうか?

また、家事や水漏れなど部屋に損害を与えた場合や、鍵の掛け忘れで泥棒に入られたり、ルームシェアのトラブルが起こった時にどこまで未成年者の責任を問えるかというのもあります。未成年であることを盾に取られてしまえば、最終的には泣くしかないでしょう。

参考: 未成年者契約 | 東京くらしWEB

他のさまざまな契約と同じで、親・保護者が同意していれば、契約は成立します。未成年者に貸す側としては、保護者が同意していますよ、という証拠をきちんと受け取ることが重要なわけです。なんなら、わざわざ未成年者と契約しなくても、保護者と契約してその子供とルームシェアする形でもいいでしょう。

もし既に未成年者とルームシェアを始めてしまったが、いろいろ心配になってきた、という場合、少なくとも、後からでも親・保護者の承認を得ることが重要です。追認といいます。順番が逆になっても、保護者が「いいよ」と承諾すれば(もちろん証拠が残る形にしてもらいましょう)、契約はちゃんと成立します。

未成年者の絡んだ犯罪に巻き込まれるリスク

「未成年者略取誘拐罪」という犯罪があります。保護者ではない成人が、未成年者を保護者から引き離したり、自分のそばに置くことは、たとえ未成年者本人が自分の意思でついてきたと言っても、罪になりうるということです。

前項と同じで、未成年者には他人についていったり、他人の家に泊り込んだりすることが正しいかどうかの判断力は無いとされているわけです。

家出をしてきて行き場所がない未成年を保護しているつもりかもしれませんが、保護者から見れば誘拐になることもあります。また、その未成年者が警察に保護されたり、保護者のところへ連れ戻されたりした後に、証言を変えてすべてをシェアメイトの命令でやった、と言うリスクだってあります。親切のつもりが誘拐者にされてしまうのでは、たまったものではないでしょう。

本人が「成人してます」と言ってても確認は必要

未成年者の絡むトラブルがあった際に、「未成年者だと知らなかった」では言い逃れはできません。確認しなかった大人のあなたの責任となります。相手が未成年者かもしれない、と思ったら、身分証明書を取る、仕事をしているなら職場、学生なら学校に照会する、などして、本人が年齢をごまかしていないか確認すべきです。

未成年者の方へ

当サイトでも、「親との折り合いが悪く、家を出てルームシェアで暮らしたいのですが?」といった相談をうけることがあります。

しかし、未成年者のあなたを受け入れてルームシェアすることは、上で書いたように、普通の判断力のある大人にとってリスクの大きな選択なのです。

であるのに、募集掲示板やメールでの連絡で「未成年者でも構わないよ」という相手がいるとすれば、その相手はリスク以外の何かを、特に未成年者であるあなたから得ようとしている可能性は高いと思われます。

たとえば、一つはセックスの問題でしょう。家出少年・少女を泊めて性行為を求めるような大人がいることは、たびたび新聞でニュースになっています。もちろん犯罪です。相手が同性なら安心かも、というのも、未成年らしい考えの足りない判断でしょう。世の中にはいろいろな嗜好の人がいますし、ルームシェア相手の悪い仲間があとから登場することもあります。

あなたは自分はもう大人で、大人と同じように判断でき、責任が取れる、と思っているかもしれません。しかし、法律と社会があなたを大人扱いしていない以上、実際に何かが起こった時にあなた自身に責任を取るチャンスはやってきません。

親や保護者と問題があってルームシェアを思いついたのであれば、まずは親との問題を解決するよう動くべきです。人によっては簡単ではないでしょう。しかし、親がお話にならないあなたのために、役所やNPOなど、相談にのってくれる大人は必ず存在します。まずネットなどでそういう相談窓口を探し、目先の問題を解決できないか動いてみてください。

親とは問題がなく、それでもルームシェアをしたい、ということであれば、親の承諾を得てルームシェアを探すことは、絶対に無理とは言えません。しかし、ルームシェアをすることは、人によっては成年でも難しいことは忘れないでください。よく調べ準備し、問題があれば保護者を含めいろいろな人に相談し、それでルームシェアをすれば、それがあなたを早く大人らしくすることもあるのかもしれません。

壁紙や床のリフォームするより、家賃を安くしてください

「ルームシェアを始めたいのですが、どんな間取りにしたらいいでしょう?」とか、「どんな改造をしたらいいでしょう?」みたいな質問を見かけることがあります。

一般の不動産賃貸でも、仲介業者が「壁紙を新しくしましょう」とか「床をフローリングにしましょう」とか「洗面台をシャワー式にしましょう」など、いろんなリフォーム案を持ってきて、これだけ改造するともっと高い家賃が取れますよ、とけしかけてくることが多々あるので、それと同じようなノリで、「ルームシェアのために何か初期投資しなきゃ!」みたいな気持ちになるのでしょうね。

Ruby Moon-Houldson painting over the mural in the upstairs room that used to house the child's library

でも、考えてみてください。ルームシェアで暮らしたいという人は、同じ屋根の下に他人と住むことを厭わないぐらい、住むことに関してはおおらかなんですよね? そんな人が、「家や部屋をピカピカの新品にするために○0万円使いました。さあ素敵でしょう住んでください!」と言われてほんとうに嬉しいでしょうか?

僕だったら、何十万もかけて壁・床・設備が新品になってることよりは、今あるがままでいいから家賃を安く貸してくれ、と言いたくなりますね。

仲介料や礼金などなど、時には半年分の家賃にも届くような初期費用を払い、最低二年でもしかしたら十年でも住みつづけるかも、という普通の賃貸ならともかく、フットワークが軽いルームシェアな人たちが入れ替わる度に改造費用をかけていたら、ルームシェアの大きなメリットである「安さ」が失われてしまいます。

リフォームを勧める人たちは、リフォーム業者と懇意にしてたり、リフォーム業者から紹介料を受け取っている可能性だってあります。ルームシェアを始めようと思った未来の大家さんには、まずは、今あるがままの状態で、追加の投資をしないで「これぐらい貰えるとやっていけそう」という最低の家賃を設定して、とにかく募集してみてもらいたいですね。

世の中には、プロやセミプロとして、内装のリフォームができる借り手というのもいます。もし今空いている部屋がバタバタに壊れていたり、汚かったりしても、安ければ直して住みますよ、という借り手を見つけることだって可能です。

ルームシェアの「節約」面を活用するためにも、まずはお金を掛けずに自分の希望を書いて募集してみるのがいいのではと思います。まずは他の人の募集を見て、感じを掴んではどうでしょうか?

ルームシェアと法律

世の中には、自分が知らないことや見たこともないことはぜんぶ違法だと思い込んでいる人が意外に多いのです。そういう人が、「ルームシェア」という新しめのライフスタイルを見聞きしたときに、根拠もなく「それって禁止されてるよね?」とか「私の常識ではおかしい/だめだ」等と言ってくることがあります。ですので、そういった人に応対するときのために、何か法律に触れるような行為があるのか、ないのか、といったことを知っておくことは重要です。

Justice_and_law.svg

「ルームシェアは又貸しだから犯罪だ?」

こういうことを言う人は、いろいろな聞きかじりの知識をごちゃまぜにして誤解しています。

「又貸し」は常にいけない、という誤解

まず、「又貸し」がいけない、と言う人。又貸し自体は何の法にも触れていません。

戦後長く続いた、都会に出てくる人はワンルームマンションを借りて住むものだ、という社会の中で、多くの大家・仲介業者(いわゆる不動産屋)は、彼らにとって問題が起こりにくくなるような契約書を整備して使ってきました。その良く使われている契約書には、「又貸し禁止」とか「最初に契約した時に決めた人以外は住んではいけません」といった項目が書かれていることが多いのです。

ですので、もしマンションやアパートを借りていて、自分の契約書を読んでみて、「又貸しは禁止」と書いてあれば、そこで初めて、ルームシェアは「その家の」契約では禁止だ、というだけのことなのです。もちろん、契約書に禁止と書いてなかったり、契約書を交わしてなかったり、単に口約束で契約したという場合には、ルームシェアは契約違反でも何でもありません。

契約違反と法律違反の区別ができない人たち

次に、賃貸契約に違反することは犯罪、というのも、契約と法律をごっちゃにしている人の誤解です。

賃貸契約は、大家(貸し手)と店子(借り手)の間の取り決めです。取り決めに違反することは、契約違反ですが、契約違反がイコール法律違反(犯罪)ではありません。

もし契約に反してルームシェアすることが犯罪であれば、(普通の賃貸でも)契約に反して家賃の支払いが1日遅れたことも犯罪になってしまいます。楽器禁止のアパートでこっそりピアノを弾いても、ペット禁止のアパートで小鳥を飼っても、それは契約を解除する理由とされることは有り得ますが、犯罪ではありませんよね。ルームシェアもそれと同じです。

契約違反があったとしても、契約書の内容にしたがい契約が解除になったりするだけであり、契約違反で警察を呼んだり、逮捕されたりというのは、普通の個人の不動産の貸し借りレベルではありえません。

それとは別に、法律に違反した契約、というのは存在します。法律で大丈夫と保証しているようなことを契約で無理に相手に要求しているようなものは、契約自体が違法となります。

ルームシェアで得た収入を申告しなければ法律違反

会社で給料を貰ったり、物を売って儲けたりした人と同じく、人に部屋を貸して家賃収入があったら、税金を納めなければいけません。これを納税の義務といいます。

家賃収入があることを隠して税金を払わなければ、これは脱税となり、法律違反です。悪質なものであれば実刑で刑務所に行く場合もあります。

ルームシェアといっても、不特定多数に短期で部屋を提供するのは法律違反

知らない人たちに次々と短期間で部屋を貸すと、これはホテル・旅館を運営しているとみなされます。

旅館業法という法律があり、お金を貰って他人を泊めるには、ホテルや旅館として届出をし、自治体からの許可を得る必要があります。また、旅館・ホテルとしての衛生基準等に従い、定期的に点検を受ける必要もあります。

それに対して、生活の拠点として他人を住まわせることは、「間貸し」となり、旅館業法の適用外となります。ルームシェアはこの範疇でしょう。

ネットで見つけられるからといって、また高く貸せるからといって、短期間で次々と旅行者等に部屋を貸してお金を取っていると、これは法律違反ということになります。短期・旅行者貸し専門のマッチングサイトもありますが、それらは利用規約等で「サイトの利用者は現地の法律に違反しないこと」など責任逃れを書いている場合が多く、実質的に日本では(他の先進諸国の大都市のほとんどで同様の規制・法律があります)使ったら法律違反となるサービスですのでご注意ください。

これ以外にも、「ルームシェアとこういう法律との関係は?」とか「これは契約違反なの、犯罪なの?」といった質問がありましたら、コメント欄でぜひご質問ください。

異性の同室のルームシェア

アメリカのノースカロライナ大学で、来学期より寮及びアパートで異性同士が同じ部屋に住むことを認める方針に変更しました。

(中略)

生徒は、キャンパス寮及びアパートでどちらの性別をルームメイトとするか選べることになります。

米大学、異性のルームシェアを認める寮方針。 | RAINBOW INFO

この話は、ゲイや性同一障害などへの理解が進んでいるアメリカらしいニュースで、日本ですぐにこういったことが起こるとは思えませんが、このニュースが示唆しているのは、「異性とのルームシェアなら危険で、同性なら必ず安全」、などということは必ずしも言えないということではないでしょうか。

同じ部屋は極端にしても(とはいっても、バックパッカー向けの宿などでは男女関係なく二段ベッドやごろ寝のとこもあります)、同じアパートやマンションの中に異性がいることを必ず問題だ、という人も多く、そういう人はルームシェアにも反対する人が多いように感じます。

しかし、一緒に暮らしていてレイプなどの性的な問題が起こるかどうかは、必ずしも異性の組み合わせによるとは限らないですね。同性であろうと異性であろうと、他人を傷つけよう、傷つけたい、という嗜好の人であれば問題を起こすし、他人を尊重する人や、嫌ならきっちりと拒絶の意思表示ができる人であれば、異性とであろうと問題は起こりにくくなります。

アメリカ人の使う「ルームメイト」の定義

「ルームメイト」「ルームシェア」を、「ルーム」だから一部屋の中に何人もが一緒に住んでいる状態だけを指す言葉かなと思ってしまうこともあるでしょう。アメリカ人はどう考えているのでしょうか?

英語を勉強するための、とあるポッドキャストで、アメリカ人の暮らし方を説明するというテーマで、ルームシェアが取り上げられていた回がありました。ここでは、以下のように”roommate”という単語の意味を説明しています。

sharing apartment = 2 people live in the same apartment

roommate = someone that is in the same room, although usually we use that if someone is just in the same apartment with you, we call that a roommate.

You might also hear the term housemate, someone lives with you in a same house.

ESL Podcast 131 – Sharing an Apartment

訳してみます

「アパートをシェアする」というのは、二人の人が同じアパートに住むことです。

「ルームメイト」というのは、同じ部屋の中にいる他の誰かのことです。しかし、普通わたしたちは、同じアパートの中にいる誰かのことも、「ルームメイト」と呼びます。

また、あなたは「ハウスメイト」という表現を聴かれたこともあるかもしれません。これも同じ家に住む他の誰かを指す言葉です。

言葉の語源から考えれば、同じ部屋の中の他人がルームメイトですが、アメリカでの単語「ルームメイト」は、ハウスメイトと同じく、別々の部屋でも同じ屋根の下に居る人すべてをカバーするということですね。

なお、イギリス英語の場合は、アパートの一戸を表す「フラット(flat)」から来た、フラットメイト(flatmate)という言葉も使われます。