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「ルームシェア」という言葉も、2000年代に入ってかなり広まり、多くの人に通じるようになりました。しかし、その認知度の高まりほど、賃貸物件を使ってルームシェアをすることは簡単にはなっていません。

「ルームシェア」だと貸してくれない大家が多いのはなぜ?

自分の街の適当な不動産屋に入って聞いてみると、すぐに実感されると思いますが、多くの不動産屋では、「家族ではない同居人と住みたい」と言う人にはなかなか物件を貸してくれません。

実際には、そのような店子に貸したがらないのは、物件を紹介している不動産屋だけではなく、その物件の所有者である大家であることも多いです。そして、多くの大家がこのようなケースを嫌がるということで、ルームシェアの可能な物件というのが少なく、その結果選択肢が限られてしまう、という現状です。

賃貸契約も普通のいろいろな契約の一つで、ようは借りたい人と貸したい人の間で貸し借りの際のルールを決めるということなので、ルームシェアするために借りる、という契約にすればいいのですが、長年ルームシェアという選択肢が存在しなかった戦後の日本の賃貸住宅事情においては、よく使われる賃貸契約書の雛形において、借りた物件の一部の部屋を又貸しすることや、契約時に届けた借り手以外の追加入居や入れ替わりを禁じていることが多いのです。

ルームシェアではなく、たとえば結婚や出産等で家族が増える場合でも、大家に通知しなければいけないとか、大家は拒絶できる、といった取り決めが書いてある契約書も多いのです。そのような良くある契約書をあまり考えずにコピーして長年使っている大家や不動産屋では、意識的にルームシェアを想定して禁止しているのではなくても、契約書がルームシェアを許可しないようなつくりになってしまっていた、という事も多いのです。

そのような契約書の元では、たとえ複数人で住むことが了承された賃貸住宅であっても、そのメンバーは契約時に決まっている必要があったり、入れ替えがあった場合に届け出、契約の更新などの作業が発生したりする可能性もあるということです。

これまで何年、何十年とその契約書で仕事をしてきた大家や不動産屋にすれば、ルームシェアしたい、あるいはルームシェア的な契約をしたい、という借り手は、それまで必要がなかった新しい手間を取らせる「面倒な客」ということになりがちで、これがルームシェアで借りられる物件がなかなか増えない原因の一つと言えるでしょう。

それでもルームシェア可の物件は増え続けている

ただし、不況がもうずっと続いていることや、ルームシェアというコンセプトが知られることによって、「借り手がなかなかつかないのでルームシェアで貸せるなら認めるので貸したい」という大家が増えてきているのも事実です。以前に比べれば、不動産屋でもルームシェア可能な物件が一件も無い、といったことは無くなりつつあります。

探すための時間を無駄にしないためにも、不動産屋には最初から「ルームシェア希望で借りたい」ということを伝えるべきでしょう。一件もシェア可能物件がなければ、不動産屋としても打つ手はありませんので、そういうときはさっさと次の不動産屋に行ったほうがいいです。