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photo credit:fukapon

「ルームシェアと、シェアハウスやゲストハウスは違うのでしょうか?」という質問が最近増えてきています。

漫画「ルームシェアとシェアハウスの違いって?」

共同生活、という意味では共通点も多いのですが、違いも存在します。

ルームシェアと、シェアハウスなどその他の共同生活の比較

ルームシェアには基本、「管理人」はいない

所有者がルームシェアを運営している場合は、シェアメイトの一人が、その戸建てやマンションを所有するオーナーで大家、という場合もあります。賃貸物件でルームシェアをしている場合は、誰か一人が代表として物件を借りてそれを他のシェアメイトに又貸ししているという場合や、住人がそれぞれ管理会社と契約を結ぶ場合などがあります。

どちらの場合でも、第三者や企業による「管理人」がいるわけではなく、住んでいる人が当事者同士で管理し、運営する形態となります。

ゲストハウス・シェアハウスは企業が運営

「ゲストハウス・シェアハウス」は、それ以前にあった「独身寮」のようなものです。建物全体を運営する誰か(普通は会社組織)がいて、その貸主が、廊下やトイレ・シャワー・キッチンなど共用部分の管理をし、寝室部分だけをそれぞれの借主に貸し、家賃を集めます。

それを、昭和の時代であれば、「独身寮」と呼びましたし、90年代に外国人が東京近辺で住んでいたものは「外人ハウス」、そのあと日本人向けの物件が増えてきて「ゲストハウス」などとも呼ばれていました。2008年頃からは、ゲストハウスと差別化するために一部の業者が名づけた「シェアハウス」という名前が、ドラマ「ラスト・フレンズ」などが採用した影響で、広まってきています。

参考:ドラマ「ラストフレンズ」のシェアハウスは理想?! | エキサイトニュース(2008年7月3日)

“sharehouse”という言葉は英語には存在しない、いわゆる和製英語ですが、このドラマをきっかけに、ゲストハウスのことをシェアハウスと呼ぶ人も増えています。また、2013年1月には「シェアハウスの恋人」というドラマも始まり、シェアハウスという言葉の認知が大きく広がりました。以下のグラフは、2004年から2013年までのグーグルでの検索数の移り変わりです。

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シェアハウスという言葉を、以前は誰も使っていなかったことがわかります。

ゲストハウス・シェアハウスは、今では都内各地に数多く有ります。その特徴は、変わったものを除けば、「初期費用が安い」「短期滞在が可能」といったところです。

企業が大規模に運営すると、中には悪徳企業も

ただ、ルームシェアとは違って企業の営利目的のため、月額の家賃はそこまで安くはなく、中には貧困ビジネス化している場合も見られます。

参考:第13回 シェアハウスに映る死、夢、そして孤独の今|開沼博 闇の中の社会学 「あってはならぬもの」が漂白される時代に|ダイヤモンド・オンライン(2012年11月20日)

部屋は、本当に「寝室のみ」で、シャワーやキッチンは共同です。自分だけの個室の寝室のものもあれば、一部屋にベッドがたくさんあって、知らない他人と5,6人で寝る、というのもあります(ドミトリー形式などと呼びます)。日本では聞きませんが、海外では男女の区別もなく雑魚寝するようなところもあります。イメージとしては、学生寮や独身寮の形式に近いですね。

ドミトリー

総じて、便利な場所にあるようです。「安くて便利」なものが多いし、だからこそ建物や設備が古かったりしても人気があるのだと思います。それに「古い/汚い」と言っても、住むのには問題ない程度のものも多いので、潔癖症の人でもなければ、生活に困るようなものではないでしょう。

ゲストハウス・シェアハウスの多くでは、共有部分は管理人が掃除してくれたり、ゴミ出しをしてくれたりするので、この点はルームシェアよりいいですね(まったく掃除しないシェアメイトという恐ろしい存在も、世の中にはいます)。

ソーシャルアパートメントなどに代表される高付加価値シェアもある

また、通常の賃貸マンション・アパートに共用施設を付加したものや、廃止された企業の社員寮を改装したような、比較的大規模で高級なゲストハウス/シェアハウスも存在します。基本的にはラウンジ、キッチン、バス・トイレは共用ですが、最近では共有部にライブラリーやフィットネスルーム、スタジオ、シェアオフィスなどを設置し、人と人との交流が出来る点、通常の賃貸では利用できないような設備を利用できる点などで付加価値を高めています。

これらの業者も、シェアハウスと名づけた業者と同じように、「普通の独身寮やゲストハウスとは違うんだ」という気持ちで、自分たちの住み方に固有の名前をつけたりしています。「ソーシャルアパートメント」というのもありましたし、プログラマーが集まることを売りにした「ギークハウス」、漫画家志望者が集まることを売りにした「トキワ荘なんとかハウス」といったものもありますね。

ゲストハウス・シェアハウスとの共通点・類似点も多い

ルームシェアもゲストハウス・シェアハウスも、不動産屋の仲介を受けずに、貸し手と借り手が直接契約をするのがほとんどです。インターネットの普及で、借りたい人が物件を直接探すのが簡単になったことも状況を後押ししているでしょう。

敷金や礼金といった初期費用も、ゼロだったり非常に少額だったりしますし、一般の賃貸のような2年契約が基本、ということは少なく、短期間の予定しか決まっていない人や職場の近くなどにセカンドハウスが欲しい人、長期の海外旅行などによく行く人にとっては便利です。

大きな家具類は持たないし、寝ることさえできれば十分、お金が貯まれば長期で海外旅行に行ったりするので、アパートを借りるのはちょっと、というような人達に取ってみれば、都心にあるルームシェアやゲストハウスは理想の住まいと言えるかもしれません。

図解: ルームシェアとゲストハウス/シェアハウスの違い・共通点

以上をまとめてみました。

住人構成 運営者 仲介 敷金・礼金
ルームシェア 他人と住む 自分たち 直接 取らない
ゲストハウス,
シェアハウス
他人と住む 運営業者 直接 取らないのが主流
一般の賃貸住宅 一人・家族だけ 自分たち 仲介業者(不動産屋) 取る

実際には、これらの間にはっきりとした線引きがあるわけではなく、貸し手や借り手の事情などによっても、どちらにも取れるような境界線上の形態のところも多いでしょう。