「壁の穴」を家賃6万円で貸し出す、サンフランシスコの強烈なルームシェア事情

アメリカのサンフランシスコで、ルームシェアしている20代のIT企業家の二人が500ドルで貸し出したのが、crawl space(=這って入れるような空間)。

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物置のようなところの壁から横に空いている穴の先は、斜面に建っている家と斜面との間に出来た、立ってはいられないほど狭い穴だそうです。

ごまかすつもりは全然なくて、写真のとおり、ここは地下にある這って入れるような、床は斜めになっている空間です。斜めの地面には土を入れて、平らにした上でラグを引いてもいいとルームメイトの許可を得ました。マットレスとナイトスタンドは置けるし、ガレージには衣装ケースを置いてもらって構いません。ガレージから延長コードで電気もひけるし、サンフランシスコの寒い冬をしのげるだけの暖房は地下にも届くし、あるいは電気ヒーターを持ち込んでもらってもいいです。

バスルームと台所は他のルームメイトと共用となります。

日本よりもずっとIT業界の給料の良いサンフランシスコ地域ですが、これ以上広がれない限定された市街地に住みたい人が多すぎるせいで、家の値段や家賃が高騰しているそうです。直近の平均的な家賃は月50万円にもなるということで、それに比べたら東京なんてまだ安い方に見えてしまうという異常さですね。

家賃が高い地域に、どうしてもそこに住みたい人がいるような状況では、このような変わった(ひどい)物件も登場してしまうのでしょう。逆に、ここまでひどくなくても空いているスペースがあれば、何か普通に借りる家に比べて足りないものがあっても、オファーを出すだけ出してみると助かる人もいるのかもしれませんね。

via The Crazy Craigslist Ad for a $500-a-Month Crawl Space in San Francisco | Credit.com

サンフランシスコ発 おもしろポスター

RoommateAd
(Credit: Social News Daily)

未来のルームメイト、ローレン

“きれい好きで気が利いて、おまけにカクテルも作れる。ローレンは最高のルームメイトだった!”

“クリエイティヴで楽しい”

“ローレンはヒップスターの体に入った専業主婦だ。絶品の料理、掃除、そしてパーティーの極意を知っている”

“ダンスパーティーを一緒に楽しめる人材でありながら、二日酔いのときはそっとしておいてくれる。偏見を一切持たない女性だ。”

これらの映画の宣伝のようなセリフの数々、実はルームメイト募集の広告なのです。

制作者は、写真上でサングラスをして手を広げている、20代女性のLauren Faheyさん。ニューヨークからサンフランシスコへの移住の際に、この手の込んだポスターをフォトショップで制作し、アメリカのクラシファイドコミュニティサイトcraigslistに載せたことで話題になりました。ポスター上に散りばめられた上記のコメントは、昔のルームメイトや親しい友人にもらったものです。

craigslistには、ルームメイトに関するものだけでも毎日何千もの募集がアップされます。サンフランシスコでの物件探しはとても競争率が高いと聞きつけたローレンさんは、その激戦区で勝ち抜くべく、アートディレクターとしての腕前をフルに発揮したポスター作りを決めたのです。制作時間はたったの20分。

ローレンさんの隣の女性の顔には”This could be you”(これがあなたになるかも?)との表示が。新しい物件探しがほぼ不可能に近いこの地区では、もともと存在するシェアに入る方が有利であると考えた結果、ルームメイトを募集することに決めたそう。西海岸につてのなかった彼女は、東海岸でのたくさんの良い交友関係を裏付ける意味もこめて、このポスターの制作に乗り切りました。

ただ1つ誤解を招いてしまったのは、このローレンさん、今まで一緒に住んだ人が多すぎではないかということ。過去のルームメイトが多い=トラブルが多いのでは、と勘違いされてしまったこともあったようです。しかし彼女曰く、コメントは一緒に住んだことのない友人からももらっているし、大学4年間で6人住まいを経験した後、ニューヨークで4年過ごした人間にとっては当然の人数であるということ。

ともあれ、奇抜なアイディアと努力の甲斐あって、その後ローレンさんは2人の素晴らしいルームメイトと出会えたそうで、物件にもかなり満足しているご様子。ちなみにローレンさんの理想のルームメイトは、1日の仕事の疲れを取るためにワインを一緒に飲めるひと、きれい好きで、楽しむことが好きだけど、毎晩のようにパーティーはしないひと、だそうです。