公共料金、光熱費(電気代・水道代・ガス代, etc.)

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家やマンションの一戸に対して請求されてくるお金については、シェアメイト全員で負担する必要があります。

基本的なところでは電気、ガス、水道などが挙げられます。賃貸物件の場合は、家賃、共益費などもそうですし、持ち家で家賃の計算に含まれていなければ、マンションの管理費、庭やベランダの使用料、固定資産税、共用電話の基本料金、町内会の会費などもあります。

もっとも、後の方の出費については、賃貸であれば大家が払うのが普通のものもあります。大家が払っている場合は、実際には家賃の中に含まれていることになります。

大家が一緒に住んでシェア貸ししている場合は、大家が光熱費を立替払いする例が多いと思います。その場合に、大家は他のシェアメイトに光熱費を請求したり、あるいは光熱費を含んだ家賃を提示しているかもしれません。

賃貸でルームシェアしている場合でも、誰か一人が代表となって、光熱費を支払う場合もあるでしょう。この時は、他のシェアメイトから光熱費を徴収することになります。

どの場合でも、光熱費をどうやって負担するか、というのは取り決めが必要で、ここを曖昧にすると、これもトラブルの元となります。

一つは、立て替えた人が毎月定額で集めるというもの。これは、払うほうも集める方も金額が毎月変わらないので楽だという利点があります。

定額方式のデメリットは、他のシェアメイト達からみると、電気や水道、ガスを「いくら使っても」払うお金が変わらないところにあります。つまり、誰もいない部屋の電気をつけっぱなしにしたり、冷暖房を必要以上に使ったりと、節約がされなくなる傾向がでます。使っても使わなくても自分の支払いは変わりませんからね。

これに対し、毎月、請求額を人数で割って、立て替えた人が全員から徴収するという方法もあります。全体の使用量が増えれば、一人一人の払う額も増えるので、無駄遣いは減ります。しかし、毎月計算をして、結果の金額をみんなに通知し、端数のあるお金を集める必要がでるので、面倒さは増します。

全員が1日から月末までいる時はいいですが、途中入居や退去も含めると、計算をする人の負担はそれなりになります。誰かが2週間旅行で家を空けたら、その人は水やガスは使ってないことになるでしょうけど、その分は抜いて計算すべきでしょうか? それとも、水道代やガス代には使わなくてもかかる基本料金がありますから、一ヶ月まるまる不在でも光熱費は負担するべきでしょうか?

それに、もし誰も旅行に行ってなくても、、この場合も、「一人だけずっと家にいて、テレビやパソコンを一日中使っている人」とか、ずっと家で仕事している人、「みんなはシャワーなのに、一人だけ毎日風呂を沸かす人」といった場合の不公平には対処できません。あきらかに不公平な状況というのがあれば、相談して額や比率を調整する、ということもできるでしょう。

複雑な細かい計算をすれば、多少は真の使用量に近づけるかもしれませんけど、その計算をしたり、お金を集めたりすることだって時間と手間が掛かっています。その手間に対しても「自分ばかり不公平だ」と言う人も出るでしょう。

例えば、計算をして徴収する係りを、毎月交代の順番制にするとか、計算をしてくれる人に多少の報酬を乗せて計算する、といった方法もあるかもしれません。

固定式と計算式を組み合わせて、「光熱費の合計が○○円に収まってれば定額だけど、○○円を越えるほどみんなが使ったら、追加で取るよ」というのも考えられます。これで、普段は定額で楽だけど、万一光熱費が異常にあがっても一人ですべてを被らなくてよくなります。

使った人が払う、という、いわゆる利用者負担の原則、というのを徹底すると、ゲストハウス(シェアハウス)に見られるような大家(業者)が設置したコインシャワー等が最も公平になるでしょうけど、そこまでやらなくても、みんなが不満なくやっていけるポイントを探して、ある程度の手間で済むように妥協することが、重要だと思います。

ルームシェアのような暮らし方で、光熱費を完全に正確に按分する、というのは実際には不可能です。ここで自分の「常識」を出して計算方法を押し付けようとすると、簡単にシェアメイトの仲は悪くなることでしょう。ここでも、重要なのは話し合うことで、不公平だと思うことについては何が不公平で、どうすれば公平だと自分は思えるのか、また相手の考える公平さについても聞いて、全員が合意できるポイントを探すようにしなければいけません。

ルームシェアとは?

ルームシェアの定義

一戸建てや2DK, 3LDKといった個室が複数あるアパートやマンションなどで、家族/親族/恋人などではないまったくの他人と一緒に住むことを「ルームシェア」といいます。

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(credit: Ambro FreeDigitalPhotos.nets

ルーム(room)は英語で「部屋」のこと、シェア(share)は、「共有する」という意味の単語です。

余談: 単に英語で”share”と言うとき、「株価」という意味になる場合もありますが、これも、会社を株式で共有=シェアすることから来ています

ルームシェアは住居のシェア全体を指す言葉でもある

シェアする対象によっていろいろな言葉があります。 シェアをする建物がハウス(家)かフラット(日本で言うマンションの中の一戸)かルーム(部屋)かによって、

  • ハウスシェア (houseshare)
  • フラットシェア (flatshare)
  • アパートメントシェア (apartment-share)
  • ルームシェア (roomshare)

などとも言いますが、これら全体を指して「ルームシェア」とも言います。

また、ルームシェアをしている家のことをシェアードハウス(Shared House)とも呼びます。これが日本語に入ったときに和製英語となり、いわゆる業者が運営する独身寮のようなゲストハウスのことを「シェアハウス」と呼ぶことも、2008年ぐらいから増えてきました。

dec 9 2008: 65/365 Creative Commons License
( credit: megan.barton)

日本では「ルームシェア」というカタカナが、シェアのすべての場合を指す言葉として定着しつつありますが、実は英語では”roomshare”という言葉はそれほどは使われていません。ルームシェアの歴史がより長い欧米でどんな呼び方をしているかにに興味のあるかたは、こちらに別途まとめましたので読んでみてください。

ルームシェアでは何を「シェア」するのか?

玄関・リビング・キッチン・バス・トイレなどは共同で使い、寝室は各個人の占有スペースとなります。

炊事や洗濯などの家事については、みんなで一緒にするところも無いとはいえませんが、一般的には、各人が自分の分を、共用のキッチンや洗濯機を使って行うのが普通です。

一緒に「借りる」のがルームシェアなの?

ルームシェア・フラットシェアサイトの中には、「他人と一緒に部屋を借りて住むのがルームシェア」と書いているところもありますが、これは間違いです。その家やマンションを借りているか、持っているかに関わらず、ルームシェアと言います。

一緒に「借りる」ことではなく一緒に「住む」ことがルームシェア

日本にない新しいライフスタイル?

日本では、戦後何十年もの間、家族でもない赤の他人と一緒に住むという習慣がありませんでした。

ですので、なかなか想像しづらいかもしれませんが、欧米、特に個人主義の強い、アメリカやイギリス、オーストラリアなどの英語圏(アングロ=サクソン文化)、合理的で倹約を尊ぶプロテスタント文化の北欧やドイツでも、ごく一般的に普及しています。

それらよりは家族主義が強いラテン系(フランスやスペイン、南米)やスラブ系(ロシア・東欧)でも、大都市圏ではごく普通に、若者の住まいの選択肢として存在しています。

また、東京や大阪と同様、人口過密で住宅事情の悪いことで知られる香港、台北、シンガポールなどアジアの大都市でも行われています。

それに、第二次大戦よりも古い時代、東京に「ワンルームマンション」などが存在しなかった明治・大正、あるいはそれより前の江戸時代には、長屋、下宿、など、都会で他人と共同生活する「シェアな暮らし」が日本でもごく普通に見られました。

他人と一緒に暮らす「ルームシェア」は、高度成長期に日本が一旦失ってしまったライフスタイルだ、と言うこともできるかもしれませんね。

友達とのシェア

知り合いや友達同士のルームシェアは、まったく知らない他人とのシェアと比べると、注意が必要です。

元々の知り合いと一緒に複数部屋のアパートやマンションを見つけてルームシェアする場合と、すでにルームシェアしているところに参加して知り合いになる場合では、どちらもルームシェアですがその運用に微妙な違いが出てくることがあるのです。

Free Two Happy Girls Holding Hands Walking to School at Sunrise Creative Commons
Free Two Happy Girls Holding Hands Walking to School at Sunrise Creative Commons / Pink Sherbet Photography

友人同士のシェアの利点

  • 気心がしれている。はじめに緊張することはない
  • 信用がある。危ない人かどうかと心配しなくてもいい
  • 互いの生活レベルを把握している
  • 同じ場所に住んでいるので、一緒に遊んだり出かけたりする機会も増える
  • 趣味が近いなら、物や服の貸し借りもできる

友人同士のシェアの欠点

  • けじめがつかない(「友達だからいいじゃん、大目にみてよ」)
  • 言うべき文句を、友達だからということで言えないかもしれない
  • その友達には見せてない自分の世界がばれる
  • 友達の嫌な面も見つけてしまうかも(こんな人だとは思わなかった)
  • シェアがうまくいかないことで、友情にもひびがはいるかも

「私と○○ちゃんはこんなに仲がいいんだから、一緒に住んだらきっと楽しい」と考えるのは自然なことです。ですが、「友達づきあいの相性と、一緒に住むために必要な相性とは違う」のも事実です。ベストフレンド、が、必ずしもベストシェアメイト、になれるとは限らないのです。

元々知らない他人であれば、ルームシェアがうまく機能しなければ、シェアを解消して元の他人に戻ることができます。しかし、元々は友人だったのに、ルームシェアをしたせいで仲が悪くなってしまった、という話はよく聞きますし、その時に「この人は一緒に住むとイライラして(あるいは他の理由で)ダメだけど、ただの友人としては素晴らしかった」というのを思い出せるか、そして昔のようなつきあいができるか、というと、なかなか難しいものがあるようです。

どんな友達ならルームシェアがうまくいくか

友情関係にもいろいろな形があります。以下のような条件が多く当てはまるようであれば、友達とのシェアもうまく進められるのではないでしょうか。

  • 関係が対等である。どちらかが他方に依存した関係だと破綻の可能性が高いです
  • 必要と思ったら相手が嫌がる事でも伝えられる
  • 友達が自分の知らない世界を持っていても気にならない
  • 友達の友達とも友達になりたい(相手の友達とも仲良くなれる)。または、友達の友達は気にならない(相手の友達づきあいまでは気にならない)
  • 友達だけに恋人ができても気にならない。喜んであげられる
  • 逆も同じ。自分だけ恋人ができても相手は気にしないタイプである
  • 金銭感覚や生活スタイルが似ている(または違っていても気にならない)
  • 大金の貸し借りをしたことがない
  • 全体的にアバウトである。または寛容である
  • 以前に他人とのシェア経験があればプラス

友達といっても、常に一方が他方に頼るような形の友情の場合、ルームシェアがうまく機能しないことが多いようです。学校で会ったり休日に一緒に遊んだりという活動では、依存関係のある友情でもうまくやっていけることはあります。

しかし、一緒に生活するとなったときに、相手にもたれかかるようなタイプのシェアメイトと四六時中一緒に暮らし、掃除やゴミ出しなども分担しなければいけないとなったとき、依存される方の負担の増え方はたいへんなものになります。

また、人生相談や恋愛相談をよく受けたり、仕事の愚痴を聞いたりを一方向にしている場合、そのような相談事を朝から晩まで自宅でされる可能性もあります。よほどできた人物でなければ、そのような強い依存を受けることはストレスになるのではないでしょうか。

他に、相手の友情を独占したがるようなタイプの友人であれば、相手の行動や人付き合いまで監視したり、コントロールしようとしたりする場合も出てくるかもしれません。

今の友情が大事と思えるような友達であればあるほど、ルームシェアでも友情が続くのか、というのは慎重に考えたり、シミュレートしてみたりする必要があるのではないかと思います。

参考: 体験談

ただ、これは多くのルームシェア経験者の声でもあり私個人の意見でもあるのですが、元々の友人とシェアをするのは本当に気をつけたほうがいいです。
というのも、友人とシェアをすると、かなりの確立で友情はぶっ壊れます。シェアメイト→友人、はアリですが、友人→シェアメイトは人をよく選んだ方がいいです。

ルームシェアについてどう思いますか? – Mizuインタビュー

彼氏彼女や友人の宿泊について

ルームシェアでの住人「以外」の宿泊、たとえば、彼氏彼女や友人、家族などいろいろありますが、誰も泊めてはいけない、というルールのところもあれば、なにも禁止しないところもあります。

Lovers In The Shadow

僕の場合は、シェアメイト間で話し合って特に決めたとき意外は、ゲストの宿泊は自由、というルールにしています。

家賃を分担して住んでいる人以外の人があまりに長く滞在するようだと、光熱費などの頭割りに入ってもらうようにお願いするかも知れませんし、自由といっても、実際には、他のフラットメイトがまったく知らない誰かを泊める際には、あらかじめ伝えておいたり、来た時に皆に紹介したり、ぐらいのことはしています。まったく知らない人が夜中に家の中にいるというのは、安心なことではないですからね。

その結果として、家のなかで同居人の彼氏/彼女などに出会うことも多くなります。狭い家の場合は、防音にも気をつけましょうね。同居人に不快な思いをさせないように。

Best roomies eva

特に、女性限定でフラットシェアをする時などは、ボーイフレンドの扱いについて注意すべきでしょう。同居人の女の子の中には、家の中を男性がうろうろするだけでナーバスになるようなタイプの人もいるかもしれません。

ゲストに対する取り決めは、家族/同性の友人/異性の友人それぞれについて、最初にはっきりとさせておくのが、トラブルを未然に回避するためのベストな方法です。

もちろん、他のどの項目とも同じですが、途中で状況が変わったときや、いざやってみると不満が出てきたときは、率直に相手に相談するというのが重要です。相談されたほうも、最初に決めたでしょ、などと言わず、話は聞くべきです。

生涯ルームシェア、という考え方

ようやく日本でも理解されはじめた「ルームシェア」ですが、そのほとんどは20代から30代の若者同士が一緒に住むというものです。

しかし、海外、特に英米あたりのルームシェア事情を観察すると、若い時だけではない人生のさまざまな場面でルームシェアが活用されていることがわかってきます。

Black and White
Creative Commons License photo credit: Brian Auer

ルームシェアの基本は、「使っていない余った部屋を活用する」ことで、出費を抑えたり副収入を得たりすることにあります。ですから、実際にはシェアメイトが若いかどうかとは関係ないのです。

若者向けのこじんまりとしたワンルームマンションが多数存在する日本の都会と違って、英米では家族が住むような何部屋もある住居を何十年、時には百年以上も使うというのが普通です(ニューヨークやパリの中心部では、さすがに一人暮らしの物件も充実していますが)。

何部屋もある家に長く暮らしていくうちに、部屋が余ることもあるでしょう。そのような場合のすべてで、ルームシェアは活用されています。これは、今の日本のルームシェアにはほとんど見られないものです。

たとえば、結婚したばかりで子供がいない若夫婦。彼らが2部屋、3部屋の家を借りたり買ったりしたとして、まだ使う予定がない子供部屋は、独身の若者に貸してルームシェアをするのは普通です。日本の住宅事情とは違って、家全体が広かったり、壁も厚かったりというのはあるかもしれませんが、カップルと独身者のシェアも、独身者だけのシェアと同じように存在しています。

また、小さな子供がいる家族でも、空き部屋があればそこに独身者を入れてルームシェアすることは良くあります。英語圏は特に需要が多いのですが、イギリスなら東欧や南欧から、アメリカなら中南米から、英語を学びに来ている若い外国人に空き部屋を貸し、その代わりに子供の面倒を見てもらう、といったルームシェアも人気です。このような子守りを兼ねたホームステイのような形態のことを、au pair=オペア、オーペア、などとも言います。

そして、子供が大きくなって進学や就職・独立で家を離れたときも、またルームシェアが登場します。大学のある町などでは特に、老夫婦と若者のシェア、独居老人と学生のシェア、などが多数見られます。

老人から見ると、家に若者が住んでいるというのは、孤独を紛らわすという点でも、防犯の点などからも利点があり、単に部屋を貸して家賃を取るという以上のメリットがあるでしょう。借りる学生たちから見ても、ルームシェアすることでより安く住めるなら、そのような選択肢が有ることに損はありません。

このようないろいろな形態のルームシェアが海外では機能しています。

日本でも、老夫婦が子供部屋を余らせているようなケースは多いでしょう。ホームステイ等で外国人学生を受け入れている方もいらっしゃると思いますが、日本人の若者とでも、長期でシェアメイトとして同居することを検討してくれる方が増えたりすると、若者側にも借りられる物件が増えていいのではないかな、と僕などは思っています。みなさんはどう思われますか?

日本のルームシェアの歴史

メディアの取材を受ける際によく訊かれるのは、ルームシェアはいつ頃から日本で普及してきたのか、というものです。僕が知っている範囲でまとめてみましょう。

1990年代

僕が日本でのルームシェアを始めたのは1996年のことです。当時は、Windows95が出て、インターネットが大学や企業以外の人に使われだした頃です。その頃は、ウェブ上にルームシェアに関する記事は一切ありませんでした。また、インターネット以前の日本のパソコン通信でも、ルームシェアに特化した場所があったとは聞いたことがありません(パソコン通信は業者ごとに閉じた世界のため、仮にあったとしても見つけるのは難しかったと思いますが)

自分でルームシェアを始めてから、自分のルームシェア体験談を日本語で少しずつウェブページとして公開しはじめました。また、体験談の読者との交流や情報交換、ルームメイト募集を目的にディスカッションフォーラムを立ち上げています。

2000年前後には、このような体験談や募集サイトが10個弱、存在していました。まだ、「ルームシェア」という用語も、シェアのことを指す用語として確定はしていませんでした。英語ではroomshareとはそれほど言いませんし、僕は「フラットシェア」という言葉のほうを好んで使っていました。

2000年の時のフラットシェアリング in Tokyoトップページ
2000年の時のフラットシェアリング in Tokyoトップページ

僕が最初にウェブサイトにつけたサイト名は「フラットシェアリング in Tokyo」でした。ルームシェアだと一部屋に何人も住んでいるような解釈も出来てしまうので、日本の家族向けマンションでやるシェアに一番合いそうな単語として、イギリス英語のflatshareを選んだものです。

僕としては、英語の「~している(生活)」という意味でingをつけたのですが、人によっては語感がいいのか、シェア生活のことを「シェア」じゃなく「シェアリング」と言い出す人がでてきます。今ルームシェアやシェアのことを「シェアリング」と呼んでいる人もいるのはここからでしょう。

当時のルームシェアは、ほとんどが東京近辺で、しかも在日の外国人によって行われていました。英語では「クラシファイド」といわれる募集広告が載っているのも、日本にある英語のウェブ掲示板かフリーペーパーで、広告や交渉もすべてが英語ベースで行われていました。

この頃にルームシェアをしていた日本人は、ほとんどが海外留学からの帰国経験者で、海外で知ったルームシェアの楽しさを続けたり、海外で身につけた語学力の維持を目的として外国人とシェアをする、というケースがほとんどでした。

2002年頃

ルームシェア入門を基にして、日本ではじめてのルームシェア解説書「ルームシェアする生活」を執筆したのがこの年です。この頃、サイトのフォーラムでルームシェアに関する質問が増えてきていたこともあり、ルームシェアとは何で、どうやったらうまくできるのか、という情報が求められている、というのが当時の出版社サイドの企画意図でした。

ルームシェアする生活―チープな家賃で仲間と愉快に暮らす (サラ・ブックス)
ルームシェアする生活―チープな家賃で仲間と愉快に暮らす (サラ・ブックス)

「ルームシェアする生活」は、残念ながらルームシェアの大きなブームを引き起こすことはできませんでした。「ルームシェア」という言葉が何を指すのかも知らない人が多い中、増刷されることもなく現在は絶版状態となっています。(チャンスがあれば今もう一度書きたいと思いますので出版社の方はぜひ御連絡ください)

まだ、「ルームシェア」というものが何か伝わらなかったこともあり、書店でも住宅関連の棚に置かれるか、ライフスタイルの棚に置かれるか、あるいは若者向けコーナーに置かれるか、と売り方も難しかったと言うのが著者としての感想です。

2004年頃

2004年頃のルームシェアジャパン(ルームメイトジャパン)
2004年頃のルームシェアジャパン(ルームメイトジャパン)

この年に、ルームシェアジャパン(当時はルームメイトジャパン)の募集数や閲覧数は1.5倍ほどの伸びを示します。きっかけはNHKのドラマ「ルームシェアの女」でした。NHKの視聴者には高齢者や地方の人も多いことから、「ルームシェア」という用語とその意味が一気に広まり、このあと、人に「ルームシェアしてます」というのが説明なしに通じるようになったと感じます。

ルームシェアの女 DVD-BOX
ルームシェアの女 DVD-BOX

それから、それまで基本的に不動産屋の賃貸でルームシェア可能な物件を探すのは無理だったのですが、この前後からまれに「ルームシェア可」という物件やルームシェアしたい人を受け入れる不動産屋が登場してきます。

また、2000年に入ってから民放でもいくつか、ルームシェアやゲストハウス(シェアハウス)を舞台とした連続ドラマが放映されます。かって海外ドラマで見ていた「面白そうだけど自分には関係ないシェア」から、より実現性のある日本でやっているシェアのモデルが、テレビで目につくようになってきました。

もっとも、ドラマの中にはルームシェアの良い面、楽しい面を過剰に強調しすぎているものもあり、準備や情報不足のままにいいかげんにルームシェアを始めてしまい、フォーラムでのトラブル相談が増えたというのもありました。ドラマというものはそういうものだと思いますが、「ドラマみたいな生き方をしてみたい」という思いを持つ人も多いのでしょうね。

2008年

1990年代のバブル崩壊のあとずっと、とりたてて景気がいいとはいえませんでしたが、この年起こった世界的な金融不況の影響で、さらに世の中の不透明感が増し、職を失ったり給与をカットされたりという話が新聞やテレビで増えました。それまでの景気のニュースが「給料が上がらなくなる/下がる」話中心だったとすれば、この辺りから「仕事が無くなる/無くなるかもしれない」という話が多くなってきます。

その少し前からメディアでよく取り上げられていた「エコロジー」と、不況による節約/倹約のちょっとしたブームがあいまって、ルームシェアやその他のシェア「カーシェア」や「オフィスシェア」がメディアに出てくるようになります。

海外帰りや合理的な若者が、楽しみや寂しさ解消を求めてルームシェアをする、という割合よりも、不況に押されて経済的な事情でルームシェアやゲストハウスへ、というケースが目につきはじめた年でもあります。

2009年

2009年頃から、突然新しい言葉「シェアハウス」がニュースに登場してきます。それまで「ゲストハウス」と呼ばれてきた、業者が運営する台所やシャワーが共同の共同賃貸住宅はずっとあったのですが、ドラマ「ラスト・フレンズ」でこの「シェアハウス」という言葉が使われた影響か、「ゲストハウス」と「シェアハウス」の並立状況が続きます。

大きな新聞社では、過去にかならず「ゲストハウス」の記事を書いているはずなのですが、担当が代替わりしたのか、「シェアハウス」というのが突然新しく出てきたものだと誤解されたような記事も増えています。

「ルームシェア」は個人間の空き部屋貸しが中心で、少しそれらとは違うのですが、そういった用語の混乱の中で、メディア記事によっては「ルームシェア」と「シェアハウス」の混同も見られるのが現状です。

2013年~現在

業者が一人一人に個室(二段ベッドや押入れのこともありますが)を貸すシェアハウス(ゲストハウス)は、メディアの露出を受けて参入者が増え、過当競争になりつつあるようです。窓がなかったり火災などの避難対策がされていないものや、不当な労働と引き換えに住まわせたり生活保護を受け取らせてしかも横取りするような、弱い立場の人を搾取するいわゆる貧困ビジネスにあたるシェアハウスも報道が増えてきました。

個人が空き部屋を貸し借りするルームシェアは、シェアハウスの流行の影に隠れて、大きなニュースになることもなく、掲示板の募集数なども、大きく増えも減りもしないという状況です。

ルームシェアジャパンとしては、ワンルームマンションから共同生活のシェアハウスに移った人たちの中に、これまで不動産屋に払っていた金額を単に業者に払うようになっただけという人が多いのではと見ています。共同生活がどういうものかを知るのに、シェアハウス/ゲストハウスで入門してみるのは悪くないと思いますが、誰かに余分なお金を払うのではなく、貸したい人から直接借りるルームシェアという、一番無駄がないルームシェアという暮らし方を、欧米のようにもっと多くの人が認知し、試し、楽しんでもらえればいいなと考えています。

ルームシェアに向く人、向かない人

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ルームシェアは、いろんな住みかたの中の一つの選択肢です。日本でもシェアの経験者、ルームシェア人口が増えてきたので、以前よりも始めやすくなりましたが、それでもいろいろと難しい点はあります。

どんな人が、シェアという仕組みをうまく活用できるのか、を考えてみましょう。これまでの経験や、相談を受けた中から見えてきた、ルームシェアがうまくいく人とトラブルになる人の特徴は、以下のようなものです。

ルームシェアに向く人の特徴

  • 伝えるべきことは遠慮せずに伝えられる
  • おおらかである
  • 他人の異なる価値観を許容できる
  • 自分のことは自分でできる

ルームシェアの掲示板等でよく荒れるのが、「常識」です。「夜は静かにするのが常識です」とか「便座の蓋を下げないのは非常識です」などと簡単に書く人がいますが、こういう人はいろいろとシェアメイトとのトラブルを抱えているようです。

何が常識か、ということは、自分と良く似た人たちの間での感覚的なものでしかありません。人はそれぞれ違うバックグラウンドを持っているのですから、日常生活のこまごまとしたことに対して違う意見や習慣を持つのはあたりまえで、そこで「相手の常識が無い」ではなく、「自分と他人では常識が違うんだ」とわかっている人は、トラブルが少ないように見えます。

常識が人によって違う、と思っている人なら、常識かどうかではなくて「自分はこうしたい」と率直に相談することができますし、「相手はこうしたいんだろう」と想像する力もあるのではないでしょうか。狭い家の中で一緒に暮らすには、そういう能力が尊重されるようです。

ルームシェアに向かない人の特徴

  • 几帳面
  • 自分の価値観をおしつける
  • 片付け魔
  • 片付けられない
  • 他人に厳しい
  • 他人に依存してしまう
  • 言いたいことを言えない

「几帳面」とか「綺麗好き」というのは、一般的には良い意味の形容だと思います。しかし、これと「他者への不寛容」が結びつくと、シェア生活はとたんにギスギスしたものになります。

誰もが自分と同じレベルまで整理整頓をしなければ気がすまない、という人は、ルームシェアには向いていないでしょう。どれぐらい片付いているのが、あるいはどれぐらい散らかっているのが一番快適か、というのは、人によって異なるものです。

「気になった人が片付ける」というルールの場合は特に、シェアメイトの中で一番綺麗好きの人ばかりが片付けることになったりします。それを、「自分が特に綺麗好きだからしょうがない」と思えればいいのですが、「シェアメイトは自分と同じぐらい綺麗好きで『あるべき』」と思う人は、毎日不満を募らせることになるでしょう。

ある程度はあったほうがよくて、でも度を過ぎるとまずい特徴

  • 計算好き(細かすぎるとダメ)
  • 整頓好き(片付け魔はダメ)
  • 会話好き(お喋りが止まらないのもダメ)

まったく無くても困るし、ありすぎても困るのがこれらの特徴です。ルームシェアでは出費を計算したり分担したりということも多いので、計算が嫌でないなら素晴らしいことです。しかし、あまりに細かくなんでも計算しきろうとすると、これもまたギスギスにつながります。

普段からちょっとしたお喋りが行なわれていると、相手に対する意見や依頼をするのもやりやすくなりますし、良好な関係を維持するのにはいいのですが、相手の都合を考えずに何時間も愚痴を聞かせたりということまでいくと、これもまた問題でしょう。