毎日新聞が脱法シェアハウスの規制に関して、次のような記事を出しています。
他人同士が集まって住むシェアハウスについて、国土交通省が「建築基準法上の寄宿舎として扱う」との規制策を示した問題で、所管する独立行政法人都市再生機構(UR都市機構)の「ハウスシェアリング制度」を利用した住居は「寄宿舎に当たらない」と判断していることが分かった。申込時にシェア相手と知人関係にあることを理由とするが、業界関係者は「線引きが難しい」と指摘し、「天下り先を守るための『ダブルスタンダード』ではないか」との声も上がっている。【加藤隆寛】
UR賃貸がルームシェア可で貸しているのを、違法建築などが問題とされているシェアハウス問題と絡めて問題としているようですが、「他人同士が集まって住むシェアハウス」という書き出しが、事実誤認でしょう。
もともとシェアハウスという用語はゲストハウスの言い換えで2008年頃から出てきたものに過ぎませんが、脱法ハウスとして問題になっているのは、業者が大掛かりにやっている、窓が無かったり天井が異常に低かったりするような、住める環境でない改造をして貸している寮タイプのものです。
ルームシェアは、個人が空き部屋を貸しているもので、そこに事業性はありません。大きなまとまった家を借りる家賃を、シェアメイトの間で分担しているだけのことです。UR賃貸の場合も、家族に貸そうと、代表者に貸して代表者が又貸ししようと、それで利益を得ているわけでもないのですから、ひとまとめに同じもののように扱うのはおかしいでしょう。
そもそも、空いた部屋を他人に貸すこと自体、ルームシェアという言葉が日本に定着した2004年頃のはるか以前、それこそ戦前から、間貸しや下宿という形で存在していました。独身寮と下宿の性格がまったく異なるのですから、ルームシェアを脱法シェアハウスの問題にまとめて論じるのは大雑把過ぎるといえます。
子供が住んで何の問題もない部屋に、知人を住まわせると突然火事や地震の危険が問題となる、という物言いは、言いがかりだとしか思えません。